ナパワインクラブ - カリフォルニアワインを楽しむ会


主な品種と産地

ワインのラベルにセパージュ(葡萄の品種)を明記するようになったのはカリフォルニアが最初と言われています。そのお陰で生産者の名前を聞いたことがなくても、ラベルに書かれた品種を見ればある程度はその味が想定できるようになりました。

カリフォルニアでは地域によって気候や土壌が異なり、それぞれの土地の特徴を活かして最適な葡萄が栽培されています。ここでは主な葡萄の品種と、その栽培地域をご紹介します。

赤ワイン

カヴェルネ・ソーヴィニョン(Cabernet Sauvignon)


カリフォルニアワインの評価を世界的に高めるきっかけとなった品種が「赤ワインの王様」と呼ばれるカヴェルネ・ソーヴィニョン。カリフォルニアのカヴェルネは豊富な日照量を受けて熟成し、非常にたくましく存在感があると表現されます。ブラックベリーやダークチェリーといった濃い色の果実味に溢れ、しっかりとしたタンニンと構成で10~20年もの長期熟成に適しています。

カヴェルネ種の葡萄は州のほぼ全土、述べ約3万ヘクタールもの土地で栽培されていますが、最高の葡萄はナパヴァレーの中でも比較的温暖な北部の丘陵地帯、スプリング・マウンテン(Spring Mountain)やラザフォード(Rutherford)、ハウエル・マウンテン(Howell Mountain)、スタッグスリープ(Stag’s Leap)といった地区で育ちます。ナパヴァレーでは南のサンフランシスコ湾から冷涼な海風が吹き込むため、北へ行くほど暖かいのです。

メルロー(Merlot)


メルローは柔らかなタンニンとチェリーやカシスのような果実味で、女性的な飲み易いワインです。ヨーロッパでは古くから生産されている品種ですが、カリフォルニアでは1970年代から急速に生産量を増やし、今ではカヴェルネ・ソーヴィニョンに次ぐ多くのワイナリーで生産されています。

フランス産では「カヴェルネ・メルロー」と呼ばれるカヴェルネ・ソービニョンとのブレンドをよく見掛けますが、カリフォルニアではカヴェルネもメルローもそれぞれ存在感があるためか、ヴァラエタルワイン(単一品種として表示され、他品種のブレンドは無しか少量)として人気です。

ジンファンデル(Zinfandel)


ジンファンデルは最もカリフォルニアワインらしい品種と言われます。起源はクロアチアでイタリアにも類似の品種がありますが、元々この葡萄をワイン用として飲み始めたのはアメリカ人であり、カリフォルニアほどジンファンデルの普及率が高い地域は世界中どこにもありません。

ジンファンデルがカリフォルニアで好まれた理由は19世紀中頃からのゴールドラッシュ。当時の金山は内陸の暑い地域にあったため、暑さに強く、アルコール度数も高いジンファンデルはタフな金鉱労働者達が最も手軽に飲める酒として好まれました。

現在のジンファンデルは、生産地によって大きく2つのタイプに分かれます。アマドール群やパソ・ロブレスといった暑い地域で造られるのは、昔ながらの糖度とアルコール分が強いジンファンデル。BBQグリル等の豪快なアメリカ料理によく合います。一方、もう少し繊細な味がお好みという方には、ソノマ等の北部地域で取れるブラックベリーやラズベリー系の味がするジンファンデルをお勧めします。

ピノ・ノワール(Pinot Noir)


ピノ・ノワールはフランスブルゴーニュ地方の代表的な品種ですが、カリフォルニアでも19世紀の終わり頃から生産されています。しかしデリケートな品種で栽培も醸造も比較的難易度が高いため、カリフォルニアでの生産量は先に挙げた3つの品種に比べると半分以下です。

冷涼な地域を好むピノ・ノワールには標準的なカリフォルニアの気候は暑過ぎるため、ナパのカーネロス、ロシアンリヴァー・ヴァレー、サンタバーバラ郡、マリーン群といった、霧の多い沿岸地帯で多く造られています。

全般的に果実味が豊富で、当たり年には滑らかなタンニンで複雑かつ芳醇な高級ワインが出来ますが、土壌や気候による品質の差が大きく、選び手のセンスが問われる品種でもあります。もちろんナパワインクラブでは美味しいピノ・ノワールを選んでお届け致します。

シラー(Syrah)


カリフォルニア産のシラーはパワーがあり、カヴェルネ・ソーヴィニョンと拮抗するほどの深い味わいを持っています。しかし逆にそれが災いしてカヴェルネブランドの陰に埋もれてしまい、古くから栽培されていながら実力に見合う人気を得られず、ジェネリックワイン(安価なブレンドワイン)用途に使われてきました。

近年では評価が見直され、シラー単体での生産量が大きく伸びています。理由は2つ。1つはシラーの老樹からプレミアムクラスのワインを生み出す技術が確立されたから。もう1つは近年の複雑な気象条件の下でも比較的安定して美味しく造れるからです。

ナパ、ソノマ、パソ・ロブレス、メンドシーノなど、カリフォルニアの主要なワイン産地で美味しいシラーが造られています。

白ワイン

シャルドネ


シャルドネは比較的栽培しやすく味のバランスが良いため、カリフォルニアで最も広く栽培されている、一番人気の白ワインです。カリフォルニアの典型的なシャルドネはオーク樽で発酵させ、洋ナシ、メロン、ピーチ系の果実味を凝縮しつつ、バニラやバターのような風味が加わっています。

しかしこうしたシャルドネは甘党でない人々には敬遠されがちで、今でもヨーロッパの人々はカリフォルニアのシャルドネを格下に見る傾向がありますが、1976年、86年、2006年のパリテイスティングではカリフォルニア産のシャルドネがフランス産を負かしているのも事実。また近年では樽発酵をほとんどさせないすっきりした味のシャルドネを造るワイナリーも増えています。

日本人好みの高品質なシャルドネはピノ・ノワールと同様に沿岸の冷涼な地域で造られており、特にナパのカーネロス、ロシアンリヴァー・ヴァレーといった地域がお勧めです。

ソーヴィニョン・ブラン


ソーヴィニョン・ブランは豊かな果実味と引き締まった酸味に微かなハーブの香りが加わり、魚料理と良く合います。生産地域によって甘口から辛口まで幅広いタイプのワインを造ることが出来ますが、カリフォルニアにおいては甘口はシャルドネと競合するため、辛口が造られることが多いです。

カリフォルニアで最初にソーヴィニョン・ブランが栽培されたのは100年以上昔、サンフランシスコにほど近いリヴァモア地域でした。ヨーロッパの中では比較的温暖な地域で生産される場合が多い品種ですが、元々温暖なカリフォルニアでは逆に冷涼な地域で生産する必要があり、より高値が付くピノ・ノワールやシャルドネと栽培地域が重複することが多いです。このため、辛口の特徴を出そうとメンドシーノ群やソノマのドライクリーク・ヴァレーなど更に冷涼な地区でも美味しいソーヴィニョン・ブランが造られています。